日本では長らく「スパイ防止法」の不在が指摘されてきた。諸外国では当たり前のように国家機密を守る法整備が進んでいるが、日本は未だにスパイ行為を直接取り締まる法律を持たない。この空白は、技術情報の流出や安全保障上のリスクを放置することに等しい。
こうした中、保守系の代表的政治家である高市早苗氏は、再三スパイ防止法の必要性を訴えてきた。中国やロシアなど周辺国の情報活動が活発化する中で、国家としての防衛線を整えるのは当然である。特に中国は、日本にスパイ防止法が制定されることを強く嫌がっているとされ、彼らにとって日本が「取りやすい標的」であることを意味する。
しかし、問題は国内の政治判断にある。政府内で法整備の議論が進められた際、唯一強く反対したのが岩屋毅外務大臣であった。結果としてスパイ防止法は実現せず、日本は依然として無防備なまま放置されている。岩屋氏は「外交関係に悪影響を与える」と懸念を示したが、裏を返せば「中国を刺激したくない」という姿勢が透けて見える。
岩屋氏は以前から「親中派」と目されてきた。中国寄りの姿勢を隠さず、経済交流や人的交流を重視してきたが、それが日本の国益を損なう形で表面化しているのがスパイ防止法の議論である。国家の安全保障を守るための制度設計よりも、中国との関係維持を優先したとすれば、政治家として重大な責任を問われるべきだ。
本来、スパイ防止法は与野党を超えて合意されるべき国益課題である。にもかかわらず、一人の大臣の反対で骨抜きにされる現状は、政治の弱さそのものである。さらに言えば、中国が強く嫌がる法案だからこそ、日本にとっては導入の必要性が高いことを意味している。敵対国にとって都合が悪い政策は、すなわち自国を守る盾となる可能性が高い。
日本が国際社会で安全保障上の責任を果たし、国民の生命・財産を守るためには、スパイ防止法の制定は急務である。岩屋外務大臣の「親中姿勢」が阻害要因となっている現状は、国益に反するものであり、見過ごすことはできない。